ファンダ分析で中小型お宝株探し

中小型株の銘柄分析と定点観測をします。

中小型株お宝銘柄探し 5290 ベルテクスコーポレーション

サマリー

ベルテクスは、コンクリート製品メーカーの中堅2社が経営統合してできた企業です。ゼニス羽田の血を継いで、汎用品は極力扱わず、高付加価値品にフォーカスしており、高い利益率を実現しています。コンクリート製品という地味さもあってPERは10倍ですが、通期の上方修正の可能性も残しており、割安な水準と言えます。また今後需要の高まる防災領域や国土強靭化領域、リニア等の需要を獲得できる立場にあり、シナジーにも真剣に取り組んでいるため、中長期での株価上昇も期待できる、面白い銘柄ではないかと思います。

ファンダ分析①事業内容と成長性

ベルテクスは、コンクリート製品のメーカーであるゼニス羽田とホクコンの経営統合によって誕生した事業者です。ゼニス羽田は関東以東に強く、ホクコンは中部以西に強いため、合併によるメリットは大きいです。またゼニス羽田は、コンクリート二次製品という業界において唯一営業利益率10%以上を実現してきた会社のため、そのノウハウの共有により、ホクコン部分の収益性も改善すると期待されます。

大きくコンクリート事業、パイル事業、防災事業がありますが、いずれも汎用品は避けて付加価値の高い製品に注力することで、高い利益率の実現を目指しています。背景にはゼニス羽田の強みであった、高い技術力や提案力を背景とする、官庁やデベロッパーといった発注者や設計コンサルタントとの関係あり、付加価値の高い製品の実現が可能になっています。

ベルテクスは2018年に経営統合をしたばかりですが、製品の統廃合や拠点の統廃合、共同研究による新製品開発や開発効率化といったシナジーの追及は着実に進めているように見え、今後これらの効果がファイナンシャルに反映されると期待されます。

  • コンクリート事業(売上の75%):ベルテクスの主要事業で、マンホールなどのコンクリート二次製品の製造、販売、工事、保守を行っています。営業利益率は10%強です。特に強みがあるのが、浸水対策、下水道といった領域で、シェアNo1製品をいくつも持っています。住宅用の宅地擁壁や防火水槽もNo1シェアです。
    同時に、老朽化対策や無電柱化工事、鉄道など、今後需要が伸びていきそうな領域の製品も多いため、国土強靭化計画やリニアなどの恩恵をあずかりうる立場でもあります。

  • パイル事業(売上の10%強):遠心力プレストレスコンクリートパイルの製造、販売、工事を行う事業で、利益率は数%です。追加の投資はせず、収益性をキープしていく事業です。

  • 防災事業(売上の10%弱):落石防護柵などの防災製品の製造、販売、工事を行う事業で、利益率は20%弱です折しも防災需要が高まる中、統合による生産能力拡大を受け、受注を伸ばしています。利益率が高いため、シナジーの実現によりさらに売り上げが上がっていくと、ファイナンシャルに大きなインパクトとなります。

  • その他(売上の5%強):賃貸事業や製品レンタルなどで、利益率は10%を超えていますが、規模も小さく、伸ばしていくものでもないので、あまり気にする必要はありません。

ファンダ分析②株価水準・割安度

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チャートは引用/転載自由の株ドラゴンさんにお借りしています。

ベルテクスの株価は、好調だった第一四半期決算(8/9)を受けて上昇を開始し、最大で1,880円を付けました。その後半期決算に向けて一度落ちていきますが、半期決算時に上期が上振れ着地したことで再び上昇、現在のPERは8倍弱となっています。

PER8倍というと一般には割安な水準ですし、上半期が上振れ着地しており通期の上方修正も期待できる中では、かなり割安な水準ではないかと思います。

株価上昇トリガー・投資戦略

ベルテクスの株価上昇のトリガーは、通期の上方修正や中期経営計画の数値見直しに伴う、EPSやPERの水準訂正と、国土強靭化計画や無電柱化といった思惑によるPERの上昇です。

  • 業績の上方修正:前述のとおり、ベルテクスの半期決算は予測に対し上振れ着地しましたが、もともと下期偏重の銘柄なのもあり、通期の予測は据え置きとなっています。しかしながら、上振れの理由は受注が好調なためであり、下期も順調にいけば同様のことが起こる可能性は十分にあります。また、既に中期計画を発表していますが、シナジーの進展などにより、中期計画の見直しが入ると、PERが上昇し、株価に反映されます。

  • プレスリリース:ベルテクスにおいては、まず業績のインパクトが大きく、プレスリリース等の思惑によるPER上昇は限定的と考えられます。しかしながら、シナジーの進展など、直接EPSに跳ねてきそうなものについては、PERの切り上げに効果を発揮する可能性が高いです。

以上から、まずは第三四半期の決算を一つの目安としつつ、中長期での保有も視野に入れて現物で所有するのであれば、ローリスクで持ちやすい銘柄ではないかと思います。

その他のリスク

ベルテクスは経営統合によって誕生した企業のため、統合の過程でトラブルがあると、大きくPERを下げることになりますが、小さい方のホクコンの人事制度を活用する等、両者にリスペクトも見られ、今のところはうまくいっているように見えます。流動性もそこまで低くなく、比較的持ちやすい銘柄ではないかと思います。

以上、ベルテクスの銘柄分析でした。
こちらの株価の推移については12月26日頃に定点観測記事を出します。

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