ファンダ分析で中小型お宝株探し

中小型株の銘柄分析と定点観測をします。

中小型株お宝銘柄探し 6092 エンバイオ・ホールディングス

サマリー

エンバイオは土壌汚染の調査・浄化を主力とするソリューションプロバイダーです。
PERは18倍と割安ではないものの、赤字事業からの撤退は完了しており、新工法によるシェア拡大や中国展開の進展といったイベントが期待されます。現在は投資家の期待も高く、今後も一定期間はそうした状況が続くと思われますが、プレスリリースがない場合や、ファイナンシャルが悪化した場合は徐々に投資家の熱が冷めていきますので、そうしたトレンドを見ながら、場合によっては撤退することが肝要です。

ファンダ分析①事業内容と成長性

エンバイオは、土壌汚染の調査から浄化までをトータルで提供しているソリューションプロバイダーです。自前技術を含む幅広い浄化手段を持ち、土壌汚染の状況に合わせて最も望ましい浄化手段を提供できます。また近年では、汚染された土地を安い価格で買い取り、自身で浄化をしたのちに再販する、ブラウンフィールド事業も行っています。
他に太陽光発電も行っていますが、うち約4割は第一四半期に興銀リースセールスアンドリースバック契約を結んでいます。

  • 土壌汚染対策事業(売上の70%強):エンバイオの基幹事業です。2019年3月期の営業利益率は2%でしたが、不採算事業から撤退した2020年は7%を見込みます。
    バイオ、化学処理、揚水、掘削と幅広いソリューションを持っており、汚染物質や顧客の予算、リードタイムなどに合わせて、適切な提案が可能です。またエンバイオが導入した熱脱着という手法は、コスト・環境負荷の高い掘削を必要とする重濃度汚染に対する新たな浄化手法であり、今後の拡大が期待されます。
    クロロエチレンなどの汚染物質の新規認定で、日本市場も安定成長が見込まれるうえ、中国における土壌浄化の本格化も期待されています。またボーリングマシン最大手の鉱研工業との資本提携も、中長期で案件へのリーチを拡大することが期待されます。

  • ブラウンフィールド活用事業(売上の20%弱):汚染された土地を自ら買い取って浄化し、再販するビジネスで、2019年3月期の営業利益率は16%です。過去数年で、土壌修復事業者の多くがこのマーケットに入ったため、競争は激化していますが、2019年3月期も17件を仕入れ17件を売却しました。また大型案件へのリーチを強化するために、不動産大手のCREとJVを立ち上げています。なおこの事業によって、不動産事業特有のボラティリティが発生する点は、投資家からの人気を下げる要因となっています。

  • 太陽光発電事業(売上の10%強):国の固定価格買い取り制度を利用した、太陽光発電です。2019年3月期の営業利益率は14%でした。今後の成長は期待できませんが、国が電力を買い取ってくれるため、安定してキャッシュを生み続ける事業です。

ファンダ分析②株価水準・割安度

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チャートは引用/転載自由の株ドラゴンさんにお借りしています。

エンバイオの900円強という株価水準は、PER11倍強ですが、2020年3月期は太陽光発電施設のセールスアンドリ―スバック契約に伴う特別利益が発生しているため、その効果を除くと、PER18倍弱という水準になります。PER18倍という水準は、一般に見るとやや高めで、成長企業であれば許容される水準です。すなわち、新工法による国内シェアの拡大や、中国における事業の成長を見込むのであれば割安とも言えますし、そこのポテンシャルを評価しなければ、やや割高ということになります。

なおエンバイオの株価は、5月の決算発表時には600円ほどでしたが、7月に1,100円を付け、直近も高値に迫る勢いでした。これは前期に重しとなっていた不採算事業を特損を出して撤退したことで、今期の営業利益率が回復すると同時に、前期との比較上も大きく利益水準が成長したように見えたためです。現在は上昇トレンドにありますので、今後投資家の期待が高まると、過去のように大きく上昇する可能性もあります。過去には2,500円も付けた銘柄なので、期待は高いものの、不動産事業のボラティリティから四半期決算が振るわないと、低迷状態に戻る可能性があります。

株価上昇トリガー・投資戦略

株価上昇のトリガーは、業績の上方修正による、EPS・PERの見直しと、中国事業の進捗に関するプレスリリースによるPERの見直しです。どちらかというと、中国関連のプレスリリースの方が有力で、業績の上方修正はそこまで期待できないかなと思います。

  • 業績の上方修正:上方修正はあればラッキーですが、基本的にはそこまで期待はできないと思います。というのも、売上目標に対する受注残は、過年度に比べてやや低めの水準にとどまっているためです。ただし、利益率の高いブラウンフィールド事業は、第一四半期時点で4割以上まで来ており、ここで予想以上の売上が立つと、上方修正の可能性が出てきます。

  • 中国関連のプレスリリース:中国の市場環境は着実に進展していますが、エンバイオのサービスはまだコンサルティングと調査にとどまり、浄化工事には至っていません。しかし、調査を経て浄化工事の受注につながると、今後の事業拡大への期待が高まり、PERが切りあがります。また鉱研工業との提携の成果が何らかのアクションの形で出てきた場合も、PERの上昇につながると期待されます。

その他のリスク

前述のとおり、エンバイオは不動産的なボラティリティのある銘柄ですので、四半期のファイナンシャルが急に悪くなることがあり、そうしたタイミングで売り込まれるリスクがあります。また流動性が低く一日の出来高は1億円に満たないので、大きなロットを裁くことは難しいです。

以上、エンバイオの銘柄分析でした。
こちらの株価の推移については12月1日頃に定点観測記事を出します。

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