中小型株お宝銘柄探し 3946 トーモク
サマリー
トーモクは段ボールの専業メーカーで、規模の小ささを逆手にとって物流ソリューションを提供したり、小規模事業者のロールアップをしたりすることで、成長してきた企業です。2019年3月期は原紙価格の値上げを吸収できず減益になりましたが、顧客への価格転嫁も完了し、トレンドの転換が起こりそうな局面にあります。
ファンダ分析①事業内容と成長性
トーモクは段ボール専業のメーカーで、専業メーカーの中ではトップ、総合製紙メーカーも含むランキングではシェア3位につけています。段ボール専業と総合製紙の違いは原紙を自ら製造しているかどうかで、専業メーカーであるトーモクは原紙を他社から調達しています。シェア3位といっても、トーモクのシェアは8%で、トップ2のレンゴーと王子製紙が合計50%以上のシェアを握っています。
トーモクは段ボール事業に加え、倉庫を含む段ボール物流事業と、スウェーデンの木材を使ってスウェーデンハウスを作る注文住宅事業を営んでいます。注文住宅事業は、祖業である木箱の事業から発展したもので、規模は小さいながら一定の顧客ニーズを抑えています。
- 段ボール(売上の50%強):トーモク最大の事業で、営業利益率は5%程度です。2019年3月期は原紙の値上がりによって原価率が悪化し、営業利益率が3.5%まで落ち込みましたが、今期は顧客への価格転嫁を完了し、元の5%近くに戻ることを予定しています。段ボールというと、環境保護の観点から需要が減っているように感じますが、実際はECの成長や小口配送の増加によってわずかながら成長しています。トーモクは小規模段ボールメーカーのロールアップと、物流まで引き受けるソリューション提供によって段ボール事業の売上を成長させる施策を取っており、直近年度にはそれまでの微増傾向から急に10%の成長を成し遂げました。
なおトーモクはそれ以前は決算説明資料を作っていないため、なぜ以前が微増にとどまっていたのかはよくわかりません。 - 運輸倉庫(売上の20%強):段ボール事業と補完関係にある事業で、それ自体の営業利益率は4%です。直近では拡大する飲食向け需要を取り込むことで、CAGR10%以上の売上成長を実現し、トーモク全体の成長に大きく貢献してきました。今後は医薬品や乳飲料などにカテゴリーを拡大していくことをうたっており、まだまだ成長余地がありそうです。
- 注文住宅(売上の25%強):やや毛色の違う事業で、売上は横ばい、営業利益率は3%弱です。木造のスウェーデンハウスを作る事業で、オリコンのハウスメーカーの顧客満足度調査にて5年連続で1位を獲得しています。今後は注文住宅自体の減少を見越し、高性能なスウェーデンハウスの需要がありそうな、クリニック・老人ホーム・宿泊施設などへの営業を強化することをうたっています。
ファンダ分析②株価水準・割安度
チャートは引用/転載自由の株ドラゴンさんにお借りしています。
トーモクは10/30の場中における業績修正のIRを受けて高騰し、1,700円をつけました。しかし、1,700円でもなおPERは5.6倍と、割安に見える水準を付けています。これは、原紙価格の上下の影響を受ける不安定な銘柄であること、スウェーデンハウスという段ボールと関係のない事業を持っていること、そもそものサイズの小ささなどに起因していると考えられます。一方で、専業だからこそのロールアップや物流ソリューションの提供などができており、その部分のメリットが株価に織り込まれていないと感じます。
2016年からのチャートを見てみると、2018年以降は明確な下降トレンドですが、直近の上方修正を受けてさらに株価が上昇していくと、上昇トレンドへと転換する可能性があります。
株価上昇トリガー・投資戦略
株価上昇のトリガーである、業績予想の上方修正によるPER増は、すでに発現し始めています。一方で、通期の予測は据え置いているため、通期予測の上方修正がなされれば、EPSの上昇とPERの上昇が起こりえます。なおトーモクは2022年3月期の目標として、売上2,000億円、営業利益率5.8%を目指していますが、今の株価水準はこの目標が実現できると期待している水準ではありませんので、今後の通期予測の修正などを通じ、2022年3月期に目標通りの数字が達成できるというコンセンサスができると、株価が上昇していくと期待されます。
その他のリスク
2019年度のように、原紙価格の上昇があると、また急にファイナンシャルが悪化しますので、市況については注意が必要です。また板はかなり薄く、売買高は一日1億円程度ですので、大きいロットを持つと、何かあったときにさばききれなくなるリスクがあります。
以上、トーモクの銘柄分析でした。
こちらの株価の推移については11月29日頃に定点観測記事を出します。
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