ファンダ分析で中小型お宝株探し

中小型株の銘柄分析と定点観測をします。

コラム 株価下落とナンピン買い

 

ナンピン買いとは

ナンピン買いとは、ある銘柄の株価が下がった際に、その銘柄を買い増すことで、その銘柄の取得単価を下げる買い手法などと説明されます。ここでは簡単に、『株価下落を受けて追加買いをすること』と定義します。

投資関連の指南書などでは、ナンピン買いは良くないと書かれることも多いです。
しかしながら、その銘柄が自分が割安だと確信できる水準にあるのであれば、買い増すことには一定の経済合理性があります。

私もナンピン買いの失敗で何度も痛い目を見ており、現在は自分なりの判断基準をもってナンピン買いをしておりますので、一度文章に残しておこうと思います。

 

なぜナンピン買いは危険なのか

ナンピン買いが危険といわれるのは、多くのケースで十分に経済合理性の考慮がされていないからです。感情的になって買い増しを行ってしまうケースもあります。

一般に、株数を増やすことは、リスクリターンを大きくする行為ですので、ナンピンをする際には、今株数を増やすことは、リスクリターンの観点で十分合理的か、また自分自身のリスク許容量からみて取れるリスクか、を十分に考える必要があります。

7191イントラストの事例を見てみましょう。ただ下がり続けるわけではなく、きっちりリバウンドする銘柄であっても、ナンピンは危険という事例です。当時の私は、実際どれだけ下がろうがいずれリバウンドするのだから、いい銘柄を選んでいる限りナンピンは安全だ、という安易な思想に立って取引をしていました。
いつもお世話になっている株ドラゴンさんは、6か月前のチャートがありませんので、今回は文字のみでのご説明になります。
まずイントラストの株価推移(全て分割後の株価で統一)です。

  • 2016年12月に上場、400円前後からスタート
  • その後、2018年1月まで継続的に上昇し、最大1,100円前後を付ける
  • その後、2018年12月まで継続的に下降し、一時300円を割り込む
  • 現在は持ち直し、2019年8月には800円まで戻し、現在は650円

もともと、1,100円という水準はPERで45倍まで行っており、過熱感がありました。
その後、特に前提条件などに大きな変化がない中で、700円(決算後の予想EPSに対して、PER30倍弱)くらいまで下がってきましたので、さすがに下げすぎだろうと、ナンピンを仕掛けました。4月に700円だったところが、5月の決算を経て850円くらいまで戻ったため、一時的に利益が出ました。そこで私は調子に乗り、再び700円を付けたタイミングで、信用取引のロットを増やしてナンピンを行いました。しかしその後は8月の第一四半期決算まで継続的に売りが続き、リバウンドはありませんでした。一度高値を付けて下がりだした銘柄は、新たな変曲点に到達し、再度の上げに転じるまで、じわじわと下がっていきます。投資家にはたくさんの選択肢があるので、人気が落ち始めた銘柄に資金を入れておく必要がないからです。
その後、2018年の8月に第一四半期決算があり、そこでの進捗(一時的に)芳しくなかったことから大きく売り込まれ、8月には500円強まで減少しました。その後、日本株全体が大きな下げに見舞われる中、300円を割り込むことになります。

それでも長く持ち続けることができれば、800円まで戻しており、現在まで持ち続けてもトントンまでは持ち直せたはずです。それができなかったのは、信用取引をしていたため、株価の下落により全ての銘柄を持ち続けることが不可能になったためです。
信用取引についてはまた別の機会で詳しく書きます。
他の銘柄を守るため、私は泣く泣く300円‐400円でイントラストを手放しました。

結果論でしかありませんが、ファンダが良好なグロース銘柄でも、PER30倍と空中戦に入りつつある中、信用取引を使った大規模なナンピンをすべきではありませんでした。これは、上述の『自分自身のリスク許容量からみて取れるリスクか』の検討が十分にできていなかったということだと思います。

 

ナンピン買いをどのように使うべきか

ナンピン買いの方法として、確実な方法はありません。しかし何らかの基準をもって、リスクリターンを考えることは可能ですし必要だと思います。例えば、仮に株価が5%下がったところで買い増すとして、元の水準に戻っても5%のサヤが抜けるだけです。さしたるリターンもない中でさらなる株価下落のリスクを取りたい銘柄かどうかで、ナンピンをすべきかどうか考えてみるべきです。
私の場合は、上記の考え方でナンピンしてもいい銘柄を選定したうえで、自分の基準から5%下がるごとに10‐20%程度買い増し、といったルールでやっています。結果としてナンピンの対象は、当期のファイナンシャルが良く、短期でのリバウンドに自信のある数銘柄に限りますが、それでも大きくロットを増やすことはしません。

イメージとしては、下記のような感じです。
まず、ある銘柄を1,000円で1,000株持っているとします。私はこの銘柄が1,500円になり、50万円のリターンを獲得できると期待しています。すなわち、リスクリターンの観点で、株価が1,000円ならば1,000株がちょうどいい水準と考えている銘柄です。
仮にここで、悪材料の顕在化や地合いの悪化もなく、株価が950円になったとします。そうしたら、950円で200株を買い増しますが、この200株は株価が1,000円に戻した時に売ります。なぜなら、1,000円ならば1,000株がリスクリターンの観点で見合う水準なので、それ以上持つことは過大なリスクを負うことになるからです。

6092エンバイオのケースを見てみましょう。チャートはいつものように株ドラゴンさんからお借りしています。

エンãƒã‚¤ã‚ªãƒ»ãƒ›ãƒ¼ãƒ«ãƒ‡ã‚£ãƒ³ã‚°ã‚¹ 株価 ãƒãƒ£ãƒ¼ãƒˆ

エンバイオのEPSは、特殊要因を除くと53円ですので、PER20倍で1,060円です。PERで20‐25倍が妥当な水準と考えておりますので、20倍から1割引いた18倍の950円がざっくりとした基準になっています。割とボラティリティのある銘柄なので、5%低下した900円では買いませんが、850円となると10%下ですので、利益が出そうと考えて、ナンピンをかけています。その後800円まで下がりましたが、無事リバウンドしました。
結果この分はほかの銘柄への乗り換えもあり、930円くらいで再度売りに出しました。
1か月くらいの間に9%程度抜けたので良かったですが、ロットが小さいのでせいぜいお小遣い稼ぎです。このように、ある程度の確信と根拠を持ったうえで、コントロールできる範囲で遊ぶ分にはいいと思いますが、そうでないと大きなリスクを負うことになるので、注意が必要だと思います。特に、私のイントラストの事例のように一度ナンピンに成功すると、何度もトライしたくなりますが、そのたびに自分の基準と照らし合わせて考えることが必要だと思います。

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