ファンダ分析で中小型お宝株探し

中小型株の銘柄分析と定点観測をします。

中小型株お宝銘柄探し 6239 ナガオカ

サマリー

ナガオカは、石油関連プラントの核となるスクリーンインターナルというコンポーネントを作ることのできる、世界で3社のうちの1社です。しかし、数年前には赤字だったこともあり、業績が回復し海外での成長の兆しが見えている今でさえ、PERは8倍にとどまっています。正しい方向には進んでいますので、業績として数字に上がってくるまで1年でも2年でも待つことができれば、2倍も狙っていける銘柄ではないかと思います。

ファンダ分析①事業内容と成長性

ナガオカは、地下水を井戸に取り込むためのスクリーンと呼ばれる装置に使われる技術をコア技術とし、水関連事業とエネルギー関連事業を営んでいます。
エネルギー事業では、石油関連プラントの性能を左右する「スクリーンインターナル」を製造・販売しており、世界で3社しかいない認定サプライヤーに選ばれています。

  • エネルギー関連事業(売上の8割):ナガオカの基盤事業です。世界で3社しかないUOPの認定サプライヤーというポジションを武器に、世界中の大手プラントから受注を得ています。2017年6月期は赤字でしたが、選択受注と原価改善の取り組みにより、2018年6月期には営業利益率が25%近くに改善、2019年の6月期は利益率を保ったままで売上を10%以上伸ばしました。今後も中核事業として安定的な収益確保が見込めます。

  • 取水事業(売上の1割):井戸向けのスクリーンビジネスです。安定的なビジネスでしたが、2019年6月期は大きく売上を落とし、水関連事業(取水+環境)が赤字となる原因を作りました。 背景としては、実証実験や仕様検討の遅れ、官公庁等の予算措置や工事計画の進捗の遅れが挙げられていますが、取水事業は不調が継続すると見ておくのが、保守的で良さそうです。

  • 環境事業(売上の1割):現在も売上の立っている『ケミレス』と、今後の拡大を目指す『ハイシス』があります。
    『ケミレス』は地下水に含まれる有害物質を無薬品で除去する装置で、鉄やマンガン、アンモニア態窒素などを除去できます。1997年の開発後から鳴かず飛ばずで来ましたが、2015年にJICAの海外展開支援事業に採択され、ベトナムのハノイ市で実証実験、その後ベトナムビール向けの大規模案件を獲得するなど、こんごは東南アジアでの拡大が期待されます。事業を加速すべく、2019年の9月にはベトナムの現地法人を立ち上げているほか、ベトナムに遅れること3年、2018年にはタイでもJICAの調査を完了し、今後の受注を目指していくこととしています。
    『ハイシス』は日立造船と開発した、逆浸透膜(RO膜)法海水淡水化プラント向けの海水取水装置です。まだ新規事業ですが、膨大な市場が存在するため、今後の成長が期待できます。

ファンダ分析②株価水準・割安度

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チャートは引用/転載自由の株ドラゴンさんにお借りしています。
(画像ではなくリンクになってしまったため、最新のものが表示されます)

ナガオカの株価は4月末ごろに一度900円を付けたのち、じりじりと下がっています。4/22、4/25と立て続けに10億円前後の大型受注が入り、そのリリースを受けて900円を付けたものの、また元の水準に戻ったようなイメージです。

ナガオカの730円程度の株価水準は、PERで8倍です。PERで8倍という水準は一般的に見てやや割安ですが、規模の小ささと流動性の低さが理由です。
売上も利益も3年前から伸び続けており、成長性を見込むと割安な水準ですが、3年前は赤字だったことと、2020年6月期で営業利益の減益を見込んでいることから、まだ十分に成長を期待されていないということかと思います。逆に言えば、徐々に今後の成長への期待感が高まってくると、株価の水準が訂正されていくと思います。

株価上昇トリガー・投資戦略

ナガオカの株価上昇トリガーは、EPS及びPERの水準訂正と、大型案件の受注です。

  • EPS及びPERの水準訂正:EPSについては、決算での上方修正、また来期予測のタイミングを待つことになります。今年上方修正があるかはわかりませんので、長い場合1年近くイベントが発生しない可能性もあります。PERも同様ですが、ケミレスの海外案件の進捗等があると、投資家が目線を上げ、PERが切りあがる可能性はあります。

  • 大型案件の受注:ナガオカは、銘柄の持つ癖として、大型受注があったタイミングで、大きく株価がジャンプします。なおこれまでは一瞬だけ火柱が立ち、その後は元の水準へと収斂していました。投資家がナガオカの本質的な成長性を認めるまでは、同じことが起こっていく可能性は高いです。

以上から、時間軸としては1年くらいを意識しながら、投資家が再びナガオカに期待するようになり、株価が大きく変化するタイミングを待つ必要があります。現時点のPERの水準を見るに、赤字から立ち直って成長軌道に戻るタイミングの企業にしては割安と考えられますので、一定のロットを現物で持っておき、変曲点を迎えるまでにうまく株数を増やしていくのが良いのではと思います。

なお、ハイシスに対する理解を深めるには、東洋紡や日東電工の逆浸透膜のビジネスケースを扱っている下記の書籍がおすすめです。