ファンダ分析で中小型お宝株探し

中小型株の銘柄分析と定点観測をします。

中小型株お宝銘柄探し 3440 日創プロニティ

サマリー

日創プロニティは、太陽光パネルの土台を主力事業としつつ、『加工』をテーマに優良な中小企業をM&Aして成長を目指している企業です。今期の調子が良すぎたため、10/15の決算における来期予測は減益になると思いますが、直近でPERは5倍強まで落ちてきており、決算発表で悪材料出尽くしとなることが期待されます。

決算発表後は減益の幅に関わらず一度下に行くなどの値動きもあると思いますので、目先の値動きに惑わされず、決算水準を見たうえで自分なりに適正PERを設定して売買することが求められます。当然現物での投資が望ましいです。なお積みあがったキャッシュで次のM&Aが行われれば、またEPS/PERが上方修正されていきますので、長期での保有も視野に動ける方にとっては、ローリスクでの投資となると思います。

事業内容と成長性

日創プロニティは金属加工を主要事業とし、太陽高パネルの土台の生産で大きく成長してきた企業です。2016年にはメガソーラーの建設事業も立ち上げ、一括受注体制を確保したことも成長要因です。同時に、太陽光パネル向けの土台の需要が落ち着いた時に備えて、「加工」をキーワードとして積極的に中小企業のM&Aを進めています。従って、好調な金属加工事業や建設事業が生み出したキャッシュで、いかに優良な中小企業を買収できるかに、この企業の成長性が規定されます。

日創プロニティは過去数年間で、ゴム製品加工会社と精密切削加⼯会社、空調関連機器製造会社の3社をM&Aしていますが、14億円の投資に対して年間あたりの営業利益が4億円と、かなり高いROIを実現しているところがポイントです。

  • 金属加工事業(売上の75%):詳細は不明ですが、主な売上は太陽高パネルの土台と想定されます。太陽光パネルの土台メーカーとして高い評価をされており、2015年度には40億円だった売上がオーガニックで2倍以上まで成長しています。
    しかし、太陽光パネルの土台の需要はFIT制度の終焉とともに落ちていくことが見えており、直近の第三四半期決算でも、受注高は前年比-10%弱、受注残高は前年比-50%となっています。調整前の営業利益率は20%弱です。

  • 建設事業(売上の15%):上記の太陽光パネルの土台を売るだけでなく、建設まで請け負うことで競争力をつけようと始まった事業です。開始3年間で売上の15%まで急成長しましたが、金属加工事業同様、今後は落ち込みが予測され、直近の第三四半期決算でも、受注高・受注残高とも35%の落ち込みとなっています。
    調整前の営業利益率は25%弱です。

  • ゴム加工事業(売上の10%弱):M&Aによる多角化を目的とした買収によって追加された事業です。売上・受注ともはほぼ横ばいの安定事業です。調整前の営業利益率は15%です。

株価水準・割安度

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チャートは引用/転載自由の株ドラゴンさんにお借りしています。

日創プロニティは7月16日に1,200円の高値を付け、その後じわじわ下落していますが、これは7月16日に福証単独上場から東証2部に変更したためです。東証2部に上がったことにより流動性が増し、PERが上方修正されたという側面もありますが、半年単位でみれば株価は上昇しています。

日創プロニティの株価が1,000円前後という水準は、PERで5倍強です。利益の出ているメーカーとしては相当割安な水準といえますが、市場が来期の減益を見込んでいるからです。受注高から見ても、来期の減益予測は避けがたいと思います。もちろんM&Aで補っていくことと想定しますが、M&A分を予測に入れることはできませんので、予測は低めに出てきます。

ポイントは、減益を前提としてPER5倍強という水準が割安なのか?ということです。PER5倍強ということは、仮に日創プロニティの来期のEPSが現在の通期予測(これ自体も恐らく上方修正されそうですが)の半分になったとして、PER10倍強です。
当期純利益が半分になるほど落ち込むのか?というと、私はそこまでの落ち込みはないのではないかと思います。仮に2017年度の水準まで戻ったとしても、EPSは-25%程度に収まるためです。もちろん販管費は通期で5-6億円ほど積み増しているので、一部が営業人員等の固定費だとすると、もう少しEPSも落ち込みますが、2017年度の水準に戻るという予測自体がかなり悲観的ではないかと思います。受注残高を比較しても、金属加工事業は2016年度第三四半期が30億円に対して2018年度第三四半期が32億円、建設事業は2016年度第三四半期が1億円に対して2018年度第三四半期が11億円です。

株価上昇トリガー・投資戦略

日創プロニティの株価上昇のトリガーは大きく、決算発表時の来期予想に伴うPERの修正(いわゆる悪材料出尽くし)と、今期決算の上方修正、新たなM&Aのアナウンスがあります。

  • 決算発表時(10/15)のPER増:決算発表のタイミングで来期予測が発表され、EPSの見直しが起こります。多くの投資家が悲観的な予測をしている中で、減益であっても市場の想定ほどひどくなければ、PERの見直しが起こります。

  • 今期決算の上方修正:一般に、来期予測発表前の今期決算の上方修正は、あまり株価に影響を与えません。この企業の場合、M&Aを行うキャッシュの確保が非常に大切なので、上方修正は素晴らしいことなのですが、株価の反応があるかはわかりません

  • 新たなM&A のアナウンス:タイミングは予測不可能ですが、次なるM&Aももちろん走っていると思います。また高ROIのM&Aができれば、市場は反応すると想定されます。

この投資は、私にとっても試したことの無いパターンですので、チャレンジです。
決算では大きく外す可能性もありますが、本来的に日創プロニティはM&Aありきの会社ですので、よほどの悪決算でなければ、継続保有します。なので、現物で所有し、マイルストーンは、①上方修正、②決算、③その後となります。

なお、日創プロニティの成長のカギを握る中小企業のM&Aを理解するには下記の書籍が役に立ちます。
一冊だけでは少し偏る危険があるのが悩ましいところですが、仲介のプロがどのように中小企業のM&Aを見ているかと、少し視点が変わって日本電産のPMIについて理解することができます。

その他のリスク

現時点では、日創プロニティが50%以上の減益を見込んだ来期予測を出してくることが最大のリスクであり、それ以外に大きなリスクは見当たりません。

以上、日創プロニティの銘柄分析でした。
こちらの株価の推移については10月25日頃に定点観測記事を出します。

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